モンテ・ローザとは、１つの山の名称ではなく、スイスとの国境付近にそびえる4000m級の山群を表します。その最高峰は標高4,634mのデュフール峰です。名の由来は「バラ色」を意味するイタリア語「ローザ」とよく間違われますが、実際の語源は「氷河」を指すヴァッレ・ダオスタ州の方言「ルエーゼ」によるものだそうです。モンテ・ローザのエリアは、ヴァッレ・ディ・アヤスとヴァッレ・ディ・グレッソネイ、2つの渓谷から成り立っており、12‐13世紀にスイスから来たゲルマン系民族「ヴァルサー」の移住地だったため、その文化と独特なドイツ語系の方言は現在も残っています。
冬のモンテ・ローザは、やっぱりスキー。ヴァッレ・ディ・アヤスからヴァッレ・ディ・グレッソネイ、ピエモンテ州まで広がる180kmのモンテ・ローザスキー場は、初級者から上級者まで、あらゆるレベルのスキーヤーを歓迎します。クロスカントリースキーのコースも数々用意しており、オフピステスキー、ヘリスキー、スノーシューズ・ハイキングなども楽しむことができます。
夏にはトレッキングやハイキング。モンテ・ローザの頂上から氷河起源の湖、古い水路「ルー」まで導くコースは、歩くたびに違った魅力をかもし出します。特におすすめなのは、ヴァルサー民族の移住進路をたどる「ヴァルサーの道」です。その他アウトドアスポーツなら、ゴルフ、釣り、クライミング、マウンテンバイクなどが楽しめます。
ヴァッレ・ダオスタとヴァルサー、２つの文化が共存するこのエリアは、豊かな食文化が育まれています。ヴァッレ・ダオスタ風料理の代表は、食肉加工品、ポレンタ、スープ、チーズフォンデューなど。ヴァルサー風料理の代表は、生パスタやおいしいお菓子です。さらにこのエリアには訪れるべき教会や城も多く、中でもイタリア王家が所有していた「サヴォイア城」は一見の価値があります。伝統工芸では、ヴァッレ・ディ・アヤスの木靴「サボ」や、ヴァッレ・ディ・グレッソネイのウールスリッパ「ソック」など、はき物が有名です。また、伝統行事も数多く開催され、そこではヴァルサーの美しい民族衣装を見ることができます。